ブラック企業の実態!採用担当者の葛藤

      2016/07/25

ブラック企業の実態採用担当者の葛藤
過労死、サービス残業、パワハラ、セクハラ、マタハラに早期退職、賃金カット!いつから日本はこんなに働きづらくなってしまったのでしょう? こんなにブラック企業が横行するのは何故?

ここではブラック企業の実態に迫ります。

ブラック企業とは

この言葉が一般に使われ始めたのは、ここ5、6年のことです。法的な定義は定められていませんが、厚生労働省によると「法令に違反する企業」が該当し、「労働法に違反する長時間労働や賃金未払いの企業」や、「労働者を使い捨てる企業」を問題視しているようです。

なお、一般的な解釈は下記のとおりです。

度を超えた長時間労働やノルマを課す

「契約を取るまで帰ってくるな」営業マンによく浴びせられる言葉です。利益を追求する以上、仕方がないことだとは思いますが、度を越したノルマはストレスの原因になります。会社によっては「売り上げ3倍DAY」など、無茶な企画を立て、支店間、社員間で競争を煽るところもあるようです。

業務内容に見合わない低賃金で働かせる

某飲食店チェーンの経営理念が「24時間365日死ぬまで働け」を掲げ、本当に過労死する人が出たため、国会議員の創始者に非難が集中。「そうしろと言うのではない。そんな気持ちで、働いてほしいということだ」と弁解し、大きな賞までいただく羽目になりました。

休日や休憩を与えず、長時間働かせる

休みなのに職場に出てくる人がいますね。自主的に出社する場合は「出勤」にはなりませんが、休みの日まで働きたい人がどれくらいいるのでしょう。「必要上仕方なく」と言うのが正直なところではないでしょうか。

残業代などが支払われない

筆者は様々な会社で働いてきましたが、会社の大きさにかかわらず、残業代が満額出たのは公務員くらいでした。多くの会社が、定時から第二部が始まるのは何故でしょう?自主的に残るのは残業ではないと言うのならば、定時を過ぎてから行われる会議は、なぜ残業にはならないのでしょう?

一方的に労働条件が変更される

入社前に「土日祝日が休み」と聞いていたのに、「休みは平日」に変更されたり、勤務地が相談もなく変更されたという「入社したらこっちのもの」的な対応は、少なくありません。

昇進・昇給が適切に行われない

「思い付き人事」は、同族企業や、トップの権限が強い会社にありがちです。気分次第で降格や昇進をさせられてはたまったものではありませんね。

ハラスメントの嵐

「お前なんて死んじまえ」「一体何ならできるんだ」「だからお前は使えないんだよ」などなど自尊心を傷つけるような言動によって肉体的・精神的に追い詰め、自主退職へ追い込まれます。

ブラック企業大賞に見るブラック企業の条件

毎年行われているブラック企業大賞にノミネートしている企業を見ると、「過労死や、過労が原因と思われる自殺」「不当な部署移動」「違法な労働時間」「パワハラ・モラハラ・セクハラ」などがキーワードになっていることが分かります。しかも業種も企業の大きさもバラバラ。もはや特定の業種の問題ではないことが分かります。

ブラック企業の実態

「自分の会社がブラック企業だ」と感じている人は、どれくらいいるでしょうか。マイナビニュースに、リスクモンスターが調査した第3回「仕事・会社に対する満足度」の結果が公開されています。

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http://news.mynavi.jp/news/2016/02/29/079/

およそ4人に1人が、自分の勤務先をブラック企業だと思っているようです。例え世間がブラック企業と思っていても、働いている人がそう思わない限り、ブラック企業ではありません。では、どんな会社がブラック企業なのでしょう。

Y氏(仮名)の体験談に基づき、実態を検証します。

Y氏(仮名)のブラック企業体験談

突然の単身赴任


私が働いていたのは、東北のある県に本部を持つ社会福祉法人でした。全国に新規事業を拡大し、私が住む街(仮にS市とします)にも、施設を開設すると聞き、「これまでのような既存の施設の改革ではなく、地元で1から新しい施設を立ち上げることができる」と考えて転職しました。

入社早々交付された辞令を見てビックリ! なんと東北の既存施設の事務長と書かれているではありませんか! 面接のときは一切東北の話は出ていませんでした。話を聞くと、「東北の開設4年目の施設の内部がゴタゴタしていて、コントロールが取れないため、立て直してほしい」と言うことでした。そういうゴタゴタが嫌だったので、新規開業の施設に転職したはずなのに。

そのころ、母親が入院するなど、家庭的に大変な時期だったのですが、そのことを伝えても考慮されません。そんな慌ただしさの中、東北での単身赴任生活が決定してしまいました。

<アドバイスポイント>
家庭の事情も考えず、相談もなく、突然の単身赴任。会社にとって社員は「駒」以外の何物でもないと言う考えが、透けて見えます。全国展開しているのなら、勤務地がS市であることを確認すべきでした。

劣悪な労働環境

赴任した施設は、どこから手を付けていいかわからないほど殺伐としていました。原因は慢性的な人手不足です。残業を前提にシフトが組まれていました。過酷な状況なので、耐えきれずに辞める人が続出。離職が多すぎて採用が追い付きません。

そんな状況なので、有資格者で技術が伴う人が来るわけはなく、未経験者ばかりが介護をするので、転倒事故も絶えませんでした。本来ならしっかりと対策を立てなくてはならないのですが、肝心の施設長は、中間管理職に「お前たちがしっかり指導しないから、統制が取れない」と怒鳴り散らすばかりで他人任せ。中間管理職から反感を買うだけで、何も解決しません。

この法人では、施設長の上司である事業部長がすべてを牛耳っているため、評価を落としたくない施設長が保身に走り、現状の正しい報告がされてこなかったことが、事態を悪化させた原因だと思いました。

<アドバイスポイント>
強いトップダウン制のもとには、YESマンしか育ちません。リーダーシップを発揮する者がいなければ、組織は分解してしまいます。

職場移動による冷遇

単身生活が半年以上を過ぎたころ、母親の状況が深刻になったため、S市に戻してほしいと願い出ました。どうやら最初から私をこの施設に張り付ける魂胆だったようでしたが、家庭の事情なら仕方がないと承認してもらいました。ただし移動の条件が「平社員へ格下げ」です。理由はS市の施設は、すでに私と同じ役職がいるためとのことでしたが、役職と業務のはく奪によって、モチベーションがどん底まで落ちました。

「悪い冗談だろう」と思っていましたが、S市の施設に出勤すると、告知された通りの状態が待っていました。「しばらくの辛抱だ」などと言われましたが、いつもの詭弁に過ぎません。何より自分の役職だった欄に他の者に判をもらうのが、一番の屈辱でした。

新しい職場では、生活相談員と採用担当でした。これまでは採用決定権があったのですが、ここでは学校訪問や企業説明会と言ったお膳立てをして、面接や採用は、他人に引き継ぐ形となります。これまで自分の仕事に誇りをもって仕事をしていたので、やりきれなさが募ります。

<アドバイスポイント>
事業部長は、「私の考え一つで人事が決まる」と言い放ったそうです。これまでのY氏に落ち度はなく、降格される理由がありません。モチベーションを上げる方法を探す方が難しいですね。労働組合がないようなので、ユニオン(合同労組)に入って闘うという方法もありますが、骨が折れそうです。

漂う無気力感と逃げ出す人々

S市の施設も、開設から半年余りだと言うのに殺伐としていました。

人の出入りは日常茶飯事、職員の話題は「いつ辞めようか」と言う話ばかり。開設準備室から関わっていた職員さえ、「どれだけ務めても自分の職場だと言う気がしない」と言う始末。せっかく採用した新人も、「全体に漂う無気力感に堪えられない」と言って辞めていきます。この施設も、異業種から転職した施設長が、保身ばかり考えて統率が取れていませんでした。

仕事上、採用担当として学生に、法人の崇高な理念を掲げたり、いかに素晴らしい職場かを吹聴しなくてはなりません。自分の仕事に誇りがあれば「一緒に働こうよ」と誘えますが、こんな状況なので、「ここだけはやめろ」と思っていました。職場の雰囲気、辞めていく人々、嘘だらけの求人票、自分が受けている冷遇に、「これ以上嘘を重ねたくない」と心が折れてしました。

Yさんは心労のあまり、うつ病と診断されました。施設に労働環境の改善を求めましたが、「仕事を続けたいなら介護でもやりな!」と言われて退職を決意。現在、自宅で療養しているそうです。

<アドバイスポイント>
生活していくためには働かなくてはなりませんが、世の中には働いていい会社と、働いてはいけない会社があります。仕事は病気になったり、自殺してまで続けるものではありません。

労働契約法では、「労使対等の原則」が謳われていますが、実際は雇用側が圧倒的な権限を握っています。人が働くから会社が潤う。会社が潤うから人が働ける。そんな当たり前に気づいてほしいものです。

 - メンタル, 就業